アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎とは

くしゃみは、鼻から吸い込んだ物質を体が「有害」と判断したときに出る自然な反応です。くしゃみによって体外に有害な物質を排出し、鼻水で鼻の中を洗い流し、鼻づまりで体の奥への侵入を防ぎます。これらは体を守るための「防御反応」です。

しかし、この防御反応が過剰になると、くしゃみや鼻水、鼻づまりが日常生活に支障をきたすようになります。この状態が「アレルギー性鼻炎」です。

アレルギー性鼻炎の原因と症状

アレルギー性鼻炎の原因となる物質(アレルゲン)には、以下のようなものがあります。

  • ダニ
  • ホコリ
  • カビ
  • ペットの毛(犬や猫)
  • その他ハウスダスト

主な症状

  • くしゃみが発作的に連発する
  • 透明のサラサラの鼻水
  • 鼻づまりがひどく夜もねむれないことがある
  • 眼のかゆみ、充血
  • 喉のイガイガ感

花粉症

花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)とは

日本では約4人に1人が花粉症だと言われています。花粉症は、スギやヒノキなどの花粉が体内に入り込むことで、鼻水や鼻づまり、くしゃみなどのアレルギー症状が引き起こされる病気です。

これらの症状は、体が花粉を排除しようとする免疫反応によるものです。透明でさらっとした鼻水や繰り返し起こるくしゃみが特徴的です。

花粉症の原因となる花粉の飛散時期(目安)

  • 1月~3月:スギ花粉、ハンノキ
  • 3月~6月:ヒノキ、マツ、シラカバ、ヘラオオバコ、ケヤキ
  • 7月~10月:ブタクサ、イネ、ヨモギ、ススキ

花粉症の方は、原因となるアレルゲンを特定し、花粉が飛散する前に予防や治療を始めることが重要です。

当院の治療内容

当院では以下の治療方法を提供しています。

  1. 初期療法
    花粉が飛散する少し前から治療を始める方法です。抗ヒスタミン薬を服用したり点鼻薬を使用することで、症状の出現を遅らせ、ピーク時の症状を軽くする効果があります。
  2. 維持療法
    初期療法で症状を抑えた後、その状態を維持するために追加の薬や点鼻薬を使用する治療法です。
  3. バイオ製剤(ゾレア®)
    重症のスギ花粉症患者向けの注射による治療です(数万円かかります)。
  4. 舌下免疫療法
    アレルゲンに少しずつ体を慣れさせる治療法です。

ゾレア®

バイオ製剤(ゾレア®)について

バイオ製剤(ゾレア®)は、重症のスギ花粉症患者に適用される治療法です。アレルギーの原因であるIgEという物質に作用し、花粉症の症状を改善します。

対象となる方

以下の条件を満たす方が対象です。

  • 重症のスギ花粉症である
  • 通常の治療で効果が乏しかった
  • スギ花粉抗原に対するIgE抗体がクラス3以上
  • 血液中のIgE濃度が30~1,500IU/ml
  • 12歳以上かつ体重が20~150kgの範囲内

投与可能時期

スギ花粉が飛散する2~5月の期間のみ投与が可能です。

治療の流れ

1. 初回診察
重症のスギ花粉症と診断し、抗ヒスタミン薬や点鼻薬などで治療を始めます。スギ花粉抗原に対するIgE抗体、総IgE値を血液検査で調べます。(結果は1週間程度かかります)
2. 2回目受診
治療効果を確認します。効果が乏しい場合は、ゾレア®治療を提案し、投与日を予約します。
  • 個人に合わせた薬品をご用意しますので事前予約が必要です。
3. 初回投与
初めてのゾレア®投与を行います。併せて抗ヒスタミン薬を継続処方する場合があります。
4. 定期通院
花粉シーズン中に2週間または4週間に1回のペースで通院し、ゾレア®を投与します。

副作用について

ゾレア®の主な副作用として、以下のような症状が報告されています。

  • 注射部位の腫れ、かゆみ、痛み、熱感、出血
  • 全身のかゆみ、呼吸困難、蕁麻疹(アナフィラキシーの可能性)

異変を感じた場合は、速やかに当院へご連絡ください。

舌下免疫療法

舌下免疫療法のイメージ写真

『終わりのあるアレルギー治療』として注目されている治療です。

舌下免疫療法とは、スギ花粉やダニによるアレルギー性鼻炎を治すための治療方法です。
アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を含む薬を毎日投与して、少しずつアレルゲンに対する免疫をつくっていきます。
免疫ができてくるとアレルギー反応を起こさなくなる、又はアレルギー反応が微少になるという効果が現れます。
よって、舌下免疫療法は花粉飛散時期の一時的な治療とは異なり、治療期間は長くかかるものの、継続すればアレルギー症状の緩和を期待できます。
つまり、『終わりのあるアレルギー治療』とも言えます。
本治療を開始した約8割の患者様が治療の継続による効果を実感されています(※舌下免疫療法は保険適用が可能です)。

舌下免疫療法で治療できる病気について

現在、この舌下免疫で治療できるアレルギーは下記の2つです。

  • スギ花粉症(治療薬:シダキュア)
  • ダニ通年性アレルギー性鼻炎(治療薬:ミティキュア)
                  ※当院でアシテアの処方はできません

スギ花粉症に対する舌下免疫療法の新規導入については、薬剤入手が困難なため、限られた人数のみのご案内となります。

舌下免疫療法の良いところ

  • 自宅にて治療を継続できる(頻繁な通院は不要)
  • スギによる花粉症を体質改善により治療できる、症状を軽減できる
  • ダニによるアレルギー性鼻炎を体質改善により治療できる、症状を軽減できる
  • いつも服用していた薬の副作用に悩まされなくてよい

舌下免疫療法で気になるところ

  • 治療期間が長期間である(約3~5年)
  • 開始時期が限られる(スギ花粉の場合のみ)
  • 副作用が現れる可能性がある
  • すすめられる年齢は5歳〜65歳、それ以外の方は要相談
  • 健康状態の制限がある(気管支系やがん、免疫系の病気を抱えられておられる方は不可)

あや内科クリニックでの舌下免疫療法

アレルギーに悩んでおられる患者様に、体質から根本的に治療できないかと考え、舌下免疫療法をお勧めする場合があります。
患者様によってはアレルゲンを体内に入れるということで抵抗を感じられる方もおられますが、お一人お一人の状態をしっかりと診察した上で舌下免疫療法を開始しても問題ないか判断いたしますので、ご安心ください。