わき汗のお悩み

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わき汗が多く出る病気のことを「腋窩多汗症(えきかたかんしょう)」といいます。腋窩(えきか)とは、わきの下のことです。
わきの多汗症かどうか、症状が重いかどうかは、わき汗の程度や日常生活でどれだけ困っているか、わき汗がどれだけ気になるかなどによって医療機関で診断されます。

以下のようなわき汗による支障を日常生活で頻繁に感じるような方は、健康保険で治療を受けられる場合があります。まずはご相談ください。

日常生活で生じる支障の例

  • わきに汗ジミができて人目が気になる
  • グレーなどわき汗が目立つ色の服は好きでも着られない
  • わき汗で服がはりついてしまうため、ゆったりしたデザインの服しか選べない
  • わき汗で周囲の目が気になって、学業や仕事に集中できない
  • わき汗でシャツを着替えることが多く、手間がかかる
  • 白シャツや下着のわきの部分が黄ばんでしまって、すぐに買い替えなければならない
  • 汗のにおいが周囲に不快感をあたえているのではないかと心配で、人間関係にも支障が出る
  • わき汗が気になり、1日に何度も制汗剤を塗りなおす
  • わき汗パッドやタオルが手放せない
  • 緊張するとわき汗が出はじめ、意識するともっと出る

診察の流れ

診察

問診や視診などが行われ、わきの多汗症の診断とその重症度が判定されます。
※わきを見せる場合も多いので、ノースリーブなど袖のないものを着ていただくことをお勧めします。

問診

診察ではわき汗の症状についてお伺いします。難しく考えずに、ありのままを伝えてください。
HDSS(Hyperhidrosis disease severity scale、多汗症疾患重症度評価度)によりお困りの程度をスコア化して評価します。
HDSSは原発性局所多汗症の重症度を自覚症状により4段階で分類する指標で、原発性局所多汗症診療ガイドラインに記載されており、スコア3及び4が重症です。

HDSS(16歳以上用)
スコア 自覚症状
1 発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
2 発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がである
3 発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
4 発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある

視診

視診では、医師があなたのわきやわき汗の状態を確認します。
ノースリーブなどのわきを出しやすい服装が便利です。

検査

わきの多汗症の重症度を判定するため、発汗量の測定などの検査を行う場合があります。

治療

わきの多汗症の治療方法には以下のようなものがあります。
当院では、塗り薬(外用薬)と注射薬(ボツリヌス療法)を取り扱っております。

塗り薬(外用薬)

汗を止める抗コリン作用を有するお薬や塩化アルミニウムなどを有効成分とするお薬をわきの下に塗ります。
当クリニックでは抗コリン作用のあるエクロックゲルの処方が可能です。
原発性腋窩多汗症の外用薬として、エクロックゲルが令和2年11月26日より保険適用されました。
1本約2週間分で、保険3割負担で1,500円ほどです。
エクロックは、自動車運転される方や、甲状腺疾患合併などの方でも問題ありません。
緑内障や前立腺肥大により排尿障害のある方、妊娠中でなければ処方可能です。

注射薬(ボツリヌス療法)

ボトックス注射は汗を出す信号をブロックし、発汗を抑えます。
1回の注射で4~9ヵ月効果が持続しますので、年1、2回程度の治療で汗を抑えることができます。薬はわきに直接注射します。
「どれくらい汗が気になるか」、「どれくらい日常生活に支障があるか」等の基準によって、健康保険が適用される場合があります。

飲み薬(内服薬)

抗コリン薬や漢方薬が多汗症の治療薬として承認されています。塗り薬や注射と異なり、広い範囲に効果を及ぼします。

手術

交感神経を切断する手術などがあり、種類によっては健康保険が適用されます。

その他

神経ブロック、レーザー療法、精神(心理)療法などがあります。

手汗のお悩み

手掌多汗症

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手汗で試験や勉強の際に紙がぬれて書けなかったり、破れてしまったり、スマホの操作に困ったりしていませんか?
日常生活をする上で、さまざまな困りごとをもたらすほど手のひらから汗が出る症状を「手掌多汗症」といいます。

手掌多汗症は、手のひらにたくさん汗をかき、日常生活に大きく影響を及ぼします。
たくさんの汗が出ますが、汗腺の数、分布、形は人による違いはありません。
手のひらは、緊張や集中といった精神活動が交感神経に伝わることで発汗を起こします。

手汗でお悩みの方、お気軽に当クリニックまでご相談ください。

アポハイドローション

アポハイドローション20%(有効成分:オキシブチニン塩酸塩)は、日本初の保険適用の原発性手掌多汗症治療薬です。
エクリン汗腺にあるムスカリン受容体に対して抗コリン作用により発汗を抑制します。
2023年3月に製造販売承認を取得し2023年6月1日に発売されました。

料金

原発性手掌多汗症と診断された方に保険診療で処方できます。
3割負担の方では、1本(1週間分)あたり707.4円(薬剤費のみ)となります。
新医薬品については、「1年間は14日分を限度として投与すること」とされていますので、1回の診察につき2本の処方が上限となります。